フィボナッチ数列の一般項の導出

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

フィボナッチ数列とは

こちらを参照、以下の漸化式で表される数列である。
F0=0,
F1=1,
Fn+2=Fn + Fn+1
すなわち、0, 1, 1, 2, 3, 5のように2つ前の項と1つ前の項を足すと次の項になる。

一般項とは

その数列{an}のn項目の数字を、nの式で表したもののこと。

導出

特性方程式というものを使って解く方法もあるが、今回はそうでない方法で求める。(特性方程式については、Topic:数列#フィボナッチ数列の一般項の求め方を参照のこと。)

母関数とは

母関数とは、数列{an}の数列の情報をもつ係数を使った関数で、すなわち以下のような式のことである。
k=0akxk=a0x0+a1x1+a2x2
よって、フィボナッチ数列の母関数は、f(x)=0x0+1x1+1x2+2x3

母関数の閉じた式

閉じた式というのは、有限個の関数の組み合わせによって得られる式のことである。 例として、初項1,公比rの等比数列{bn}=1,r,r2,r3…について考える。
これらのn項目までの和は、公式より11rn1r
n→∞の極限を考えてみると、|r|<1のとき、rnは0になるため、 limr11rn1r=11rとなる。 だから、形式的に1+r+r2+r3…=11rとする。

f(x)の閉じた式

以下のように計算をする。
f(x)=0x0+1x1+1x2+2x3          ・・①
xf(x)=   0x1+1x2+1x3+2x4        ・・②
x2f(x)=      0x2+1x3+1x4+2x5   ・・③

そして、①-②-③を計算すると、2乗以上の項は0になるし、0x0=0のため、以下の式が得られる。
f(x)xf(x)x2f(x)=x
f(x)でくくって、f(x)(1xx2)=x
f(x)=x1xx2
これがf(x)の閉じた式、母関数である。これを無限級数の形で明示的に表せばはフィボナッチ数列の第n項anになる。

等比数列との比較

というわけで、f(x)を11rに近づけることにする。 とりあえず1-x-x2を因数分解してみる。 これが、(1-ax)(1-bx)と因数分解できたとする。したがって、x1xx2=x(1ax)(1bx)となる。 これを、11rの和の形にしたい。

分解して係数比較

部分分数分解という式変形を使う。
x1xx2=x(1ax)(1bx)=s(1ax)+t(1bx)とおくと、両辺を(1ax)(1bx)倍すると、x=(1bx)s+(1ax)t=sbsx+tatx=(bs+at)x+s+t

展開して係数比較

したがって、s+t=0,bs+at=-1であるとわかる。
また、1xx2=(1ax)(1bx)=1(a+b)x+abxより、a+b=1.ab=-1とわかる。

a,bの導出

先程の式から、以下の方程式が導かれる。
{a+b=1ab=1
ab=-1を変形する。a=1b
上の式に代入して解く。
1b+b=1
1b+b2b=1
1+b2b=1
1+b2=b
b2b1=0
2次方程式の解の公式に代入する。 b=(1)±(1)24×1×(1)2×1=1±52
aを代入して求めると、152なので、a>bとすると、 a=1+52b=152

s,tの導出

a,bを代入し、もう一度連立方程式を解く。
{s+t=0152s+1+52t=1
下の式を2倍する。(15)s+(1+5)t=2・・①
上の式に(1+5)をかける。(1+5)s+(1+5)t=0・・②
①ー②を計算{(15)(1+5)}s=2
カッコ内を計算25s=2
-2でわる5s=1
したがって、s=15 これを上の式に代入して、t=15

一般項を文字で表す

以上から、得られた変数を代入して、x1xx2=15(1ax)15(1bx)=15{11ax11bx} この{}内の式は、先程の等比数列の無限級数、11r=1+r+r2+r3であったので、このrにax,bxを代入した式となる。すなわち、 x1xx2=15(1ax)15(1bx)=15{11ax11bx}=15{ (1+ax+a2x2+a3x3)(1+bx+b2x2+b3x3)}=15{ (ab)x+(a2b2)x2+(a3b3)x3+}=ab5x+a2b25x2+a3b35x3+anbn5=15(anbn)
以上から、フィボナッチ数列のn項目はanbn5となる。

結論

a,bを代入して、 15(anbn)=15{(1+52)n(152)n} これがフィボナッチ数列の一般項である。